◇新潟日報「幸せフィナーレへ」(17)=11月28日付=

越後平野にも雪が舞い散る季節になりましたね。朝晩の凜(りん)とした空気を胸いっぱいに吸い込み、さあ、今年の冬にしかできない片付けを始めましょう。

片付けは決して、「捨てる」だけではありません。物に対する大切な思い出を、ご家族や信頼できる人と共有すること、記録し、伝えていくことができるといいですね。

先祖代々伝わってきた物は、由来と共に次に託したい人に。愛着ある物は大切に思う人に。ご自分が使わなくなった後、誰が使うだろうか、誰にとって必要だろうか―。そのように考えると案外、本当に大切な物は多くはないのかもしれません。次に託せる人がいるかどうか、ということを考えることも、片付けのヒントになりますね。

また、片付けの結果、託したい物については、エンディングノートなどに、その思いと共に記録しておくと、残された方に寄り添い支えてくれる存在となっていくことでしょう。私が幼少だったころ、ニシンの麴(こうじ)漬けは冬の保存食でした。祖母の懐かしい味ですが、今はその味を引き継げなかったのが心残りです。

次回は、遺品整理について書いていきます。

 

一般社団法人「はまなす」(新潟市中央区)代表理事・秋山貴子