◇新潟日報「幸せフィナーレへ」(13)=9月26日付=

私の故郷は北海道です。先祖は内地(北海道では本州のことを内地という言い方をします)から渡り、北の大地で生活を営んできました。

先日、旭川市の老舗しょうゆ醸造業の記事を小冊子で目にし、祖父が営んでいたみそ・しょうゆ醸造業のことを思い出しました。果たして、私はどれほど祖先や両親のことを知っていたのだろうか…。日常生活の慌ただしさに紛れ、そんなことを思い出しては忘れ、またふと自分のルーツを知りたくなるのです。

思春期に自分探しを始めるように、親が亡くなるなどして相続が開始される途端、自分がどのように生を受けたのか、両親の生きてきた証しをたどり、その祖先にたどり着く一連の作業が始まります。どんな人でもです。それは楽しくもあり、苦痛でもある作業かもしれません。

日本には戸籍という素晴らしい記録簿が存在します。それは単に、生まれて住所を定めて縁を結んだり切ったり、そして亡くなった記録ではなく、自分と祖先をつなぐさまざまな物語が記録されているものであると思います。

ご自身の半生を元気なうちに振り返り、大切な方に伝え、エンディングノートに記録しておくことも、いずれ残される人にとってのメッセージになるのではないでしょうか。次回から、家族関係図について書こうと思います。

一般社団法人「はまなす」(新潟市中央区)代表理事・秋山貴子